地下鉄を守る新たな止水材 〜現場の声を大切にする姿勢が世界の建設現場を支える〜
2025年03月25日
地下には無数の水脈が走っています。地下鉄トンネルの建設では、この地下水の対応が重要な課題。
トンネルを掘り進めると必ず水が流れ出し、放置すれば大規模な事故につながる可能性があります。
タキロンシーアイは、40年以上にわたり、水の流水を止める「ハイドロタイト※」をゼネコン、土木・設備施工会社、プラント建設等に提供、トンネルの安全を支えてきました。2024年、新製品「Hydrotite AD type」を開発し、施工品質の安定化と工期短縮の実現に取り組んでいます。その社会貢献性や誕生の背景などを建築資材・シビル企画統括部 インフラ海外営業グループ長 Y.M.と栃木工場 技術グループ T.S.に伺いました。
※タキロンシーアイが製造・販売している止水材(ハイドロフィリック止水材)のブランド名。主にコンクリート構造物の打継目や施工目地に使用し、水と反応して膨潤する特性(吸水膨潤性)を利用して隙間を埋め、漏水を防止します。地下や水回りなど、水圧がかかる環境下でも確実に止水できることが特徴です。

現場の小さな気づきから、作業者の悩みを解決する製品へ
「現場で働く人の声を聞き続けることが、私たちの原点です」
建築資材・シビル企画統括部 インフラ海外営業グループ長のY.Mはそう語ります。
開発きっかけは、コロナ禍での海外現場とのオンラインコミュニケーションでした。従来の止水材は、現場の施工者が一つひとつ手作業で接着剤を塗って取り付ける必要がありました。一つの地下鉄工事で使用される止水材は数千個、トンネル延長が長い工事では数万個になります。一個あたり数十秒もの接着作業時間が必要なため、この作業だけで膨大な時間を要します。さらに海外の建設現場では、これだけの量の接着作業において、作業者ごとの手順の違いから品質にばらつきが生じることが課題となっていたのです。

この課題を解決するため生まれたのが「Hydrotite AD type」です。工場で事前に接着剤を均一に塗布することで、現場での接着作業を省略できるようになりました。作業時間を短縮できるだけでなく、作業者の経験に関係なく、安定した品質で取り付けられるようになったのです。


世界のインフラを支える、現場で培った知恵
インフラを支える製品だからこそ、品質の確保は何より重要。だからこそタキロンシーアイは、製品開発から施工指導まで一貫して行う体制にしています。他社が商社を通じた販売を行う中、タキロンシーアイの担当者は現場に足を運び、施工指導を実施。
普段は埃が舞う建設現場。接着面に埃が付くと、スマートフォンの保護フィルムのように、うまく貼り付かず剥がれ落ちてしまう心配があります。そのため、現場の状況を細かく確認し、建設現場特有の粉塵環境下でも安定した接着力を維持できる製品開発を行ってきました。
アジアの都市づくりを支える、頼れるパートナーとして
急速な経済成長を遂げるアジア各国での都市化に対応するため、インドネシアやフィリピンなど各国で地下鉄網の整備が本格化。安全で確実な工事の実現が求められています。「人と地球にやさしい未来を創造する」という使命のもと、タキロンシーアイは環境への配慮と作業者の安全を大切にしています。新製品は無溶剤かつ無臭の粘着剤を使用し、環境や人体への影響を最小限に抑えています。
栃木工場 技術グループのT.S.は次のように思いを語ります。
「生活を支えるインフラの工事に貢献できることが私たちの誇りです。これからも現場の声に耳を傾けながら、世界中の建設現場で役立つ製品を作り続けていきます」

製品の性能だけでなく、作業のしやすさや品質の安定性まで考えたものづくり。
この現場に寄り添う姿勢を大切にしながら、タキロンシーアイは世界のインフラ整備に貢献していきます。
タキロンシーアイ株式会社
〒108-0073
東京都港区三田3丁目5番19号
インフラ海外営業グループ(担当:村松、藤田)
TEL:03-6435-1832