研究開発の取り組み
中期経営計画「Go Beyond 2026 革新」の主要施策「新製品・新事業の創出」に基づき、コア技術の改良と新製品開発を確実に推進し、既存事業の拡大に取り組みます。また、将来成長が見込める5つの新注力事業ドメインにおいて、素材やデバイス・モジュール等の高付加価値分野の開発を推進し、事業ポートフォリオの転換を図るとともに、お客様の期待を越える商品開発を実現します。
研究開発戦略の全体像
組織新設による新たな研究開発体制
新製品・新事業の創出・育成を加速化させるため、「新事業推進部」「新素材・新領域開発部」を新設しました。研究開発本部との連携を通じて、新素材・新規参入分野の探索や企画開発を強化します。また、外部研究機関・大学との協業や国内外でのアライアンス・M&Aを積極的に活用することで研究開発本部の企画機能を強化し、新事業創出に必要な技術獲得を進めていきます。知財については、2022年度より研究開発本部配下の組織として開発との連携を強化し、特許件数の増加などを図ってきましたが、今後は各事業本部や新組織との連携も強化し、さらなる競争優位性を獲得します。
注力技術
新技術開発件数(特許出願件数)52件(2023年度)
既存事業分野において、当社のコア技術である材料配合技術・各種成形加工技術・分析評価技術をベースに、当社主力製品であるフィルム・シート・パネル製品の圧倒的な差別化・独自性を追求するべく各種表面機能化技術(塗料設計・コーティング技術)の獲得・深耕を進めています。さらに、今後はナノ材料関連技術の研究開発を強化し、ナノ製品の拡充、ナノ技術によるプラスチック加工製品の高機能化を推進し、主力事業強化および新市場・新事業参入を進めていきます。また、当社の事業領域を拡大するべく機能性フィルムの開発にも注力し、ヘルスケア・メディカル分野・半導体分野への参入を検討しています。環境対応では、プラ新法(資源循環に関する法律)に基づき、単一素材で従来同等の機能を発現するモノマテリアル包材の開発や、欧州のリサイクル・易分離に対応するシュリンクフィルム等の機能包装材の開発にも注力しています。
新製品・環境配慮型製品の創出
新製品開発活動の加速とその進捗の可視化、データ蓄積・活用を目的に、2023年度から全社横断型の開発デザインレビュー(ステップ管理)のDX化を推進中です。進捗の可視化による開発スピードの加速、各種KPIの進捗・集計管理等への活用も含めて、業務効率化につなげていきます。加えて、さらなる生産性向上を図るべく、研究開発活動における生成AI活用やMI(マテリアルインフォマティクス)活用の取り組みを開始しています。また、全社活動として進めている環境配慮型製品の開発については、3R+Renewableの観点から、リデュース、リサイクル、バイオマスプラスチック、生分解性樹脂の活用等、積極的な取り組みを進めています。リデュースにおいては、当社のセルロースコンパウンドをはじめとした複合材料開発、リサイクルにおいてはリサイクル材活用製品の開発等も推進しています。バイオマスプラスチックについてはマスバランス方式の原料調達のため、主要拠点工場でのISCC(International Sustainability & Carbon Certification)認証取得を進めており、サプライチェーンでの役割を果たしていきます。当社は保有する配合技術や成形技術をもって、全方位で環境配慮型製品開発をさらに加速していきます。
欧州を中心に、世界的に循環型社会への取り組みが加速していく中、当社は、よりリサイクルが容易なモノマテリアル(単一素材)包装材料の開発を進めています。ノンバリアタイプおよびバリアタイプのモノマテリアルフィルムに加え、モノマテリアル包装用のジッパーテープの開発も推進しており、フィルム・ジッパー双方でモノマテリアル包材の実現に貢献していきます。
プラスチック削減・炭酸ガス排出量削減に貢献するとともに、これまでの樹脂材料と同様に様々な成形手法に対応できる、ポリオレフィン樹脂系セルコースコンパウンドの開発を進めています。当社の配合技術等を活かし、プラスチック使用量49%以下にしつつも、優れた成形性を維持するコンパウンド開発を目指しています。また、マーケティング活動を通じて顧客からの要望が多かった食品衛生法対応タイプも開発中です。
知的財産への取り組み
当社は、中期経営計画「Go Beyond 2026 革新」の主要施策として「新製品・新事業の創出」を掲げていますが、それを支える知的財産への投資について右記の基本方針を定めています。当基本方針に基づき、下記の4つの活動を行い、知財活動の全社的強化に努めています。
- 1競争優位の確立に向けた知的財産創出活動の実践
- 2事業遂行を担保する知的財産権クリアランス
- 3事業の推進を支える知的財産人材の育成
また、当基本方針に基づき、下記の4つの活動を行い、知財活動の全社的強化に努めています。