サステナビリティ

研究開発の取り組み

大幅な企業価値向上に貢献する研究開発テーマへの選択と集中を実施し、ポートフォリオを描いたうえで実現に向けた体制の強化、オープンイノベーションの積極的な活用、ダイナミックな手段(外部技術導入、M&A等)の選定を推進していきます。

2030年ビジョンの実現に向けた研究開発戦略の全体像

研究開発体制

研究開発部では、3つの拠点・6つのグループで各事業本部が有する技術のさらなる発展を加速させ、事業拡大に資する新製品開発・新技術の獲得・新事業創出活動を進めてきました。本年度はこれまでの研究開発活動や体制そのものを抜本的に見直すべく、テーマの取捨選択と将来の研究開発部門が注力すべきポートフォリオの策定に注力していきます。この中で当社のコアとなるものを中長期テーマとして設定し、次期中期経営計画に向けた研究開発戦略とロードマップ、知財戦略の策定につなげていきます。また、現在分散している研究開発拠点についても、今後我々が注力する事業分野と併せて拠点集約・統合の検討を進めていきます。さらには新事業創出に必要な技術獲得も外部研究機関・大学との協業や、国内外よりアライアンス・M&Aも活用しながら進めていきます。

注力技術

新技術開発件数(特許出願件数)50件(2022年度)

既存事業分野において当社のコア技術である材料配合技術・各種成形加工技術・分析評価技術をベースに、当社の主力製品であるフィルム・シート・パネル製品の圧倒的な差別化・独自性を追求するべく各種表面機能化技術(塗料設計・コーティング技術)の獲得・深耕を進めています。当社主力事業である建材分野のみならず、モビリティを含むガラス代替市場への価値提供を目指します。また、当社の事業領域を拡大するべく伸縮機能を持つフィルム基材開発にも注力し、ヘルスケア分野・半導体分野での評価が進んでいます。環境側面においてはプラ新法(資源循環に関する法律)に基づき、より単一素材で従来同等の機能を発現するモノマテリアル包材の開発、石油由来のプラスチックを大幅に削減できるセルロースが主となるセルロースコンパウンドや、その機能包装材の開発にも注力しています。

新製品・環境配慮型製品の創出

新製品売上高比率 21.5%(2022年度・単体)

新製品開発活動の加速とその進捗の可視化、データ蓄積・活用を目的に、全社横断型の開発デザインレビュー(ステップ管理)のDX化が完成し、運用をスタートしました。進捗の見える化により、開発スピードの加速を促します。また、本システムは各種KPI(環境配慮型開発件数/知財件数/新製品売上高比率)の進捗と集計管理が可能なため、目標設定・レビュー等への活用も含め、業務効率の大幅な改善が図れます。全社活動として進める環境配慮型製品の開発については、3R+Renewableの観点から、リデュース、リサイクル、バイオマスプラスチック、生分解性樹脂の活用等、積極的な取り組みを進めています。リデュースにおいては当社のセルロースコンパウンドをはじめ、樹脂素材に廃材資源(食品・飲料廃材)を配合し複合化した商品開発、リサイクルにおいては外部よりプレコンシューマ-を調達し、水平リサイクル化により商品化したもの、また、老朽化した資材のリサイクルスキームの構築も各事業分野で加速しています。バイオマスプラスチックについてはマスバランス方式の原料調達のため、主要拠点工場でのISCC(International Sustainability&Carbon Certification)認証取得を進めており、サプライチェーンでの役割を果たしていきます。当社は保有する配合技術や賦形技術をもって、全方位で環境配慮型製品開発をさらに加速していきます。

資源循環・リサイクルを見据えた モノマテリアル包材を開発中

世界的なサステナブル機運のもと、よりリサイクルが容易な単一素材でのモノマテリアル包材の開発を進めています。各種包装材に求められる要求性能(ガスバリア性・水蒸気透過性)にも応える機能を付与し、大手コンバーターならびにブランドオーナーへのPRを計画しています。

ブロー成形、インフレーション成形向け セルロースコンパウンドを開発

オレフィン樹脂系セルロースコンパウンドの事業化に向けて、具体的ターゲット用途(フィルム・ボトル)を設定し、配合設計技術を強化してきました。併せて、成形物にガス・水蒸気バリア性の機能を付与することで、既存の容器・包装材と同等の品質性能の実現にもチャレンジしています。資源有効利用促進法のもと、石油由来樹脂を大幅削減することでCO2排出量の削減に貢献します。

知的財産への取り組み

当社は、2023年度経営計画の施策の一つとして「知財活用による研究開発強化」を掲げており、それを支える知的財産への投資について下記の基本方針を定めています。

  1. 1競争優位の確立に向けた知的財産創出活動の実践
  2. 2事業遂行を担保する知的財産権クリアランス
  3. 3事業の推進を支える知的財産人材の育成

また、当基本方針に基づき、下記の4つの活動を行い、知財活動の全社的強化に努めています。