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大切な住宅を集中豪雨から守る新機能付きのマス

管工機材 2023年06月27日


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タキロンシーアイは、1972年に当時コンクリート製が主流だった住宅の排水マスを、プラスチックで初めて製造・販売しました。土中においても変質しない高い耐久性が評価され、国内市場シェアを獲得してきました。そのマスに、集中豪雨による下水の逆流から住宅を守る機能を付与した「逆流抑止マス」を昨年9月に発売しました。営業担当の徐萌さんと技術担当の八上航さんにお話を聞きました。


各戸で大雨による逆流に備えることが可能に


- 逆流抑止マスを開発した背景を教えてください

(徐)近年、気候変動による集中豪雨が各地で発生しています。気象庁では「非常に激しい雨」、天気予報では「バケツをひっくり返したような」と表現される降水量50mmを超える大雨の発生回数は、30年前に比べておよそ1.4倍。水害リスクは年々高まっています。

大雨により下水道などの排水施設がキャパオーバーになると、住宅内に下水が逆流する危険性があります。この逆流を、宅地内にあるマスに機能を与えることで抑制しようと開発したのが、逆流抑止マスです。

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トイレから汚水が逆流する危険が…(イメージ)


― そもそもマスの役割とは?

(八上)住宅のトイレや台所の排水は、配管を通って最終的に下水道本管に流れていきます。下水道本管と配管の途中にある小型の点検口にあたる部分がマスと呼ばれ、配管の維持管理のために設置されています。しかし、豪雨の際は、この下水道本管から逆流が発生し、住宅内へ流れ込む恐れがあります。本製品のコンセプトは、マスで下水の逆流を抑制しようというものです。今回は、他社に先駆けて、宅内マス用途として使用できるコンパクトサイズを発売しました。

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住宅に設置されるマスと配管


平時の排水と緊急時の逆流抑止を両立


- 逆流抑止マスが逆流を抑制するメカニズムを教えてください

(徐)逆流抑止マスの特徴は、①逆止弁、②圧力開放蓋、③段差です。逆流抑止マスには、逆止弁と呼ばれる逆流を抑制するハッチが付いており、この逆止弁によって、汚水の宅内への逆流を抑止します。また、逆流してくるのは汚水だけではありません。空気も同様で、逆流抑止マスにセットで取り付ける圧力開放蓋によって配管内で高まった圧力を逃がします。一方で、通常の排水時には水がスムーズに流れるよう、マス内には段差を設けています。

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逆流抑止マスのメカニズム



― 設計にあたり苦労したことはありますか?

(八上)技術的にクリアすべき事項、検討すべき事項が多々ありました。いざ逆流発生時の抑止と通常時の排水を両立できるか。長期間繰り返し行われる排水に対して、逆止弁の耐久性は十分か。誤って固形物を流してしまった際に、逆止弁による詰まりを引き起こさないか等、これらの要求品質を満たすために、工場内に試験場をつくり、繰り返し試験を行いました。結果として、通常利用時の掃流性を確保しながら、逆流発生時でも雑巾で処理可能な最小限の漏れに留めることに成功しました。

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東京工場 技術グループ 八上 航さん



住宅の高性能化に向けたニーズにトータルに応えていきたい


- お客様からの評価はいかがでしょうか?

(徐)これまで世の中には公共用のマスにしか逆止弁付きのものは存在しませんでした。当社が業界で初めて宅内用の「逆流抑止マス」を発売したことで、従来ですと役所の許認可に時間がかかり採用を見送っていたような現場でも下水の逆流対策ができるようになりました。大手住宅メーカー様に、高性能住宅の標準仕様品として「逆流抑止マス」を採用いただくなど、住宅メーカー様からご好評を頂いています。

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住設建材事業部 住宅直需営業グループ 徐 萌さん


― 今後の展開を教えてください

(徐)施主様からの住宅の高性能化ニーズを受けて、各住宅メーカー様は「高断熱」や「レジリエンス(耐久力・強靭性)」といった付加価値のある商品を次々とリリースしています。当社は様々な住宅関連品を製造していますので、今回の「逆流抑止マス」をきっかけに、雨水を有効活用する「雨水貯留タンク」や、軽量・高剛性・高断熱性を兼ね備えたシステムパネル材「ルメカーボ」など、ご要望にお応えする製品をセットでご提案していきたいと考えています。

お問い合わせ
タキロンシーアイ株式会社 住宅直需営業グループ 03-6711-3715
 
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