業績・財務

財務資本戦略

強固な財務基盤を維持しながら、
事業ポートフォリオマネジメントの精度を上げ
成長分野への戦略投資を継続していきます。

取締役 常務執行役員 経営企画本部長 兼 CCO 玉木 敏夫

健全な財務基盤

収益力の改善で強固な財務基盤を支える

タキロンシーアイグループは健全な財務体質を維持していますが、2022年度は大幅な減益により営業キャッシュ・フローは大きく落ち込みました。D/Eレシオは0.1倍未満で推移し財務の健全性を示す指標は安定していますが、さらなる成長分野への投資やM&Aによる事業拡大、デジタル投資や研究開発投資、さらにはサステナビリティ経営に必要な人的資本投資を実行するとともに、株主・投資家の皆様への安定的な配当を継続するため、グループ全体の収益力改善を、トップダウンで実行しています。ROIC(投下資本利益率)を採用した事業ポートフォリオ戦略を推進しており、所定の比率を下回る事業は一定期間の猶予ののち改善しなければ売却・撤退も検討する等、徹底した事業構造改革を実行していきます。そして、投資効率の最大化と経営資源配分の最適化を実現し、キャッシュ創出力を強化することで、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。

D/Eレシオ(負債資本倍率)
  • 有利子負債にリース債務および保証預り金を含めず算出しています。
営業活動によるキャッシュ・フロー/フリー・キャッシュフロー※1
  • ※1フリー・キャッシュフローは伊藤忠商事への預け金を除外して算出しています。
  • ※22020年度のフリー・キャッシュフローは前年度の不動産売却益に係る税金支払の影響でマイナスとなっています。

事業ポートフォリオマネジメント

ROICを用いて事業評価の精度を高め、戦略投資領域を可視化

タキロンシーアイでは、ROICを採用した事業ポートフォリオを策定し、各事業の現在の実力値を可視化しています。資本収益性を示す指標の中でも、ROICは、事業セグメントを細分化して算出しやすいという特長があります。現場レベルまでブレイクダウンしてROICの算定値を継続的に確認・検証し、資本収益性の改善を推進することで事業ポートフォリオマネジメントに取り組みます。各事業の体質改善を推進すると同時に、成長事業への戦略投資や低収益・低成長事業の撤退等の重要案件を迅速かつ適切に経営判断し、最適な事業ポートフォリオを目指します。
次期中期経営計画においては、市場動向の把握やROICを含む経営管理指標の算定手法を充実させつつ、当社の市場評価を踏まえ、事業戦略に落とし込んでいきます。具体的には、「成長率」および「資本収益性」に対し、各事業における年平均売上高成長率とROICを算出してプロットを実施。さらに、当社の基準とするハードルレートを「成長率」および「資本収益性」に設けることで、「成長事業」「主力事業」「成熟事業」「低収益低成長事業」の4象限フレームワークに各事業を分類します。このフレームワークを用いて各事業の実力値を把握し、事業分析・評価の精度向上に取り組んでいきます。そして、事業ポートフォリオマネジメントのPDCAを定期的に回しながら、各事業評価の精度を高めていきます。

現場へのブレイクダウン(ROIC改善ツリー)
4象限フレームワーク
ROICの推移

タキロンシーアイグループ連結における2022年度の全社平均ROICは4.2%(ROIC算定式は右図のとおり)となり、大幅な減益決算に伴いROICも下落しました。2023年度は経営陣から現場まで一体となって収益力の改善に向けた事業構造改革を実行し、ROIC経営の浸透・定着を図ります。

ROIC(投下資本利益率)

キャピタルアロケーション

成長投資と株主還元の両輪で、企業価値の向上を目指す

前中期経営計画「CX2023」では、3年間で330億円の投資枠を設定しましたが、2021・2022年度の2年間の実績累計は73.4億円にとどまりました。単年度計画に切り替えた2023年度も継続的に投資を行いながら、次期中期経営計画において事業構造改革を加速させるための投資方針を策定する予定です。新製品・新技術開発、生産力強化や新事業推進体制の強化に取り組むとともに、M&Aによる事業拡大を計画しています。
一方で、株主・投資家の皆様への還元を強く意識し、成長投資とのバランス配分で企業価値向上に努めます。2023年3月期の期末配当金については、1株あたり4円(年間15円)となりましたが、2024年3月期の配当予想は、1株あたり22円を下限としており計画必達への決意を表しています。なお、配当性向の目安を40%とする当社方針に基づき、業績が計画を上回る場合は上方修正する方針です。

投資実績・方針
配当・配当性向推移